いじめの現実と対策
いじめによる自殺のニュースがメディアをにぎわせている。
はっきり言おう。
いじめは、なくならない。
これは、ニワトリのつつき合い、イヌやサルのボス争いなどと同じく、人間の生物的な本能なのだ。自分よりも弱い者を見つけて、それを攻撃することで自分が立派な人間だと信じたがるのは、中二病の典型的な症状でもある。
本日現在、報道では「学校」や「教育委員会」をバッシングする路線になっているが、本当にバッシングされるべきなのは、いじめをやっている本人である。いじめられた人間は、たとえ自殺しなかったとしても、一生消えない心の傷を負う。
いじめた人間には刑事罰を与えて、一生前科者として生きさせるべきだ。
肉体的だろうが精神的だろうが、暴力は暴力なのだから。他人を自殺に追い込むほどの暴行を行う人間は、人間として完全に壊れているので、社会から隔離すべきなのだ。いっそ死刑でいいと思う。
また、視点を変えれば、そういう子供に育ててしまう人間は親として失格だ。そういう親は子育て禁止にすべきだ。去勢してしまえばいい。
おっと、個人的な怒りから、ちょっと過激なことを書きすぎた。
私もいじめを受けて自殺を真剣に考えた者として、冷静ではいられない側面がある。ここは、極力冷静に……。
さて、私が自殺をしなかったのは、同じ部活にいたH君の存在のおかげである。唯一、彼だけが周囲に流されることなく、私に対して普通に接してくれていた。そして、彼の存在のおかげで私は、人生に絶望しきることがなかった。同じように、友人や先生など、学校の中に味方がいたおかげで救われた、という被いじめ経験者は多い。
先にも書いたが、いじめは人間の本能によって発生するものなので、絶対になくならないはずだ。なくならないものに、対策もクソもない。唯一なにかできるとしたら、いじめを理由にした自殺を抑止することくらいだ。
そして、それには味方の存在が不可欠だ。
残念ながら、親は味方にはなりえないと私は思う。私自身、共働きで家に親がいなかったせいもある。忙しい親に苦労をかけたくないという気持ちもあった。
なので、味方は、一日の大部分を過ごす場所であり、いじめが進行している場所でもある、学校にいなければならない。
教師の前では素直にふるまう加害者も多いことから考えれば、同級生の役割はどうしても重くなってくる。とはいえ、「死んでくれてうれしい」と発言するような完全な狂人を目の前にしたら、同級生たちは自分の身の危険も感じるだろう。防衛本能から消極的な形で暴行の幇助をしてしまうことは、避けられないことかもしれない。
となると、残るは教師だ。
教師のみなさんに私がお願いしたいのは、いじめの兆候を見逃さないでほしい、ということだ。
いじめは、ゴキブリと同じだ。
たまたま暴行を見かけたということは、見ていないところにもっと多数の暴行が存在しているということだ。子供は報復をおそれて現実よりも軽めに語るかもしれないが、大人が直感的に思うよりも深刻な場合が多い。見えないところで、死に至る致命的な絶望が巣くっていて、心を蝕んでいる。
事態を過小に評価して致命的な事態になるよりも、事態を過大に評価して失敗し始末書を書くほうが、何倍もマシだ。
そして、いじめられている少年少女へ。もしもこの文章にたどりついたのなら、以下の言葉を心に秘めていてほしい。
私は、自殺するな、とは言わない。
人間には法律に反しない限り愚かなことをする自由があるのだから、自ら命を絶つ自由だってあるのだ。それに、死にたくなるような絶望はよく理解できる。
ただ、ひとつだけ言っておきたい。
他人をいじめることでしか自分の立場を主張できない狂人は、憐れむべき存在だ。そんな狂人のために君が苦しむのは、間違っている。苦しみが無限に続くように思えるだろうが、たかだか数年のことだ。学校を卒業した後は、狂人と別れて幸福をつかむチャンスは十分にある。狂人の人生は、そのうち破綻する。
その未来を信じられるなら、狂人をさげすみながら耐えろ。死ぬのは、いつだってできる。
滝澤（2012/07/13）
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