【は】「鼻水」と「バカ」と
小学生の頃、学校の健康診断があるたびに「慢性鼻炎」と診断されて、耳鼻科医院に通院させられていた。
当時、自分では意識していなかったが、今思い返すと鼻水に思い出が数多くある。腰あたりまで垂れかけた鼻水を一気にすすりあげる、なんてこともあった。
まるで、マンガみたいだと級友たちに笑われたことを憶えている。
この慢性鼻炎、中学生の頃の健康診断で何も言われなくなったので、いちおう治ったらしい。が、鼻が弱いのは変わらないようで、今でも風邪をひいては鼻水を垂れ流し、花粉症で鼻水を垂れ流し、理由はくわからないけど、とにかく鼻水を垂れ流すことが多い。
自慢ではないが、風邪で寝込んで鼻水を垂れ流し、1日中鼻をかみ続けて、ティッシュを1箱まるまる使い切ったことがある。むろん、鼻のかみすぎでヒリヒリして、大変なことになったことは言うまでもない。
依頼、風邪をひいたときには、やわらかい高級ティッシュを買って、鼻水対策に使うことにしていいる。
さて、鼻水が大量に出ると、ふと心配になることがある。
あきらかに、私の体から何かが出ているのである。大半は水分かもしれないが、それ以外の成分も含まれている。
1日に1箱のティッシュを使い切るほどの「なにか」を流出させた私の体からは、重大な何かが失われているのではないかと心配になるのだ。
鼻水となって流れ出しているものは何か。鼻に近い場所で考えると……。
まさか、脳？
そういえば、大量に鼻水が出るときは、頭がぼうっとなっている。
これは、やばい。
脳の全体のうち10%しか使われていないという説があるが、1箱使い切った後のティッシュの山を考えると、脳の大半が流れ出してしまったのではないかと思えてくる。
事あるごとに大量の脳を垂れ流している私は、だからバカなのか。
すると、大量に出てくる鼻水＝脳を再摂取すると、再び脳に戻ってくれるだろうか？
バカになる一方の私の頭も、少しは現状を維持してくれるだろうか。
いや、いっそのこと、他人の鼻水を摂取すれば、より頭が良くなるのだろうか？
ううむ……。
頭が良くなりたいのはやまやまだが、鼻水を摂取するのは、ちょっと気持ち悪くてイヤだ。うまいこと処理をして、滅菌して、摂取することに心理的な抵抗がなくなるような形にできないだろうか。
これができれば、DHAに変わる「頭のよくなる成分」として、ボロ儲けできるかもしれない。
名前も重要だ。
鼻水エキスでは、消費者がイヤがるだろう。ここは鼻水エキスの頭文字をとって、HMEと呼ぼう。これなら売れるかも。
まず、私が風邪をひく。
流出する大量のHMを集め、滅菌処理し、水分を減らし、HME錠剤にする。それを頭の良くなるサプリメントとして売れば……バカ売れ間違いなしだ。
HMの原価なんて、私の体から出るものだから、あってないようなものだ。あっという間に、夢の億万長者生活。
あ、お金は稼げるけど、私はバカになるいっぽうか。
万が一HMEが売れなかったときには、私はただのバカ、という最悪の人物になってしまう。
いかんいかん。
くだらないことを考えてないで、仕事のことでも考えることにしよう。
目指せ、マトモな社会人。
滝澤（2009/07/05）
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