【そ】 「爽快」と「痩躯」と
最近、爽快感が感じられない。
というのも、体調があまり芳しくないのである。
こんな書き方をすると心配する人がいるかもしれないので、あらかじめ言っておく。大きな病気をわずらっているわけではない。毎年の人間ドックでは、中性脂肪が高いと言われている程度。丈夫に生んでくれた親に感謝している。
さて、調子が良くないのは、まずは肩。仕事柄パソコンに向かう時間が長い上に、家に帰ってからも書き物のためにパソコンに向かう。そんな生活をしているから、運動不足だし、肩こりにならないほうがおかしい。
症状は肩に始まり、首に広がり、腕が侵食され、腰にも微妙な違和感。最近は、腰から足のほうにまで違和感が広がっている。
これで頭の中身までおかしいのだから、私の体でまともな場所はほとんどない、ということになる。
そんな状態なので、体を急に動かすと体のあちこちの筋がピキっとなる。自然と体の動きが鈍くなるし、あちこちをかばいながら行動するので変に疲れやすい。
まあ、体重をもうちょっと減らせば、少しは楽になるのだろうが。
加えて、咳が止まらない。
発端は今年の1月にひいた風邪。風邪そのものは軽くて済んだのだが、なぜか咳だけが止まらず、はや3ヶ月が経過した。
近所の医者にしばらく通ったものの、出された薬では治らなかった。仕方がないので漢方薬局で薬を調合してもらったが、やはり改善しない。今はドラッグストアの店員に進められた市販薬を、投げやりな気分で飲み続けている。
ちなみに、この市販薬を飲んだ後が一番楽になるが、薬が切れるとまた咳が出始める。改善は、していない。
とにかく、朝から晩まで咳奴に悩まされていると、ひどく消耗する。
集中力も、なかなか続いてくれない。
この喉のタンがすっきり切れて、咳がおさまってくれたら、どんなに爽快だろうか。
ちょっと前にお笑いタレントが結核にかかった、というニュースが流れたが、私の場合は医者にかかってレントゲンまで撮られているのだから、結核の可能性は否定されている、と信じている。
ただ、心配なので、そろそろもう一度医者に診てもらおうかと考えている。
仮に、結核だとしよう。
結核の文章書きなんて、まるで古式ゆかしい文学青年ではないか。たしかに、昔は夭逝の天才を夢見たこともある。が、いまや青年と呼べる年齢ではなく、どれほど格好をつけたくても、私はくたびれたサラリーマン以上のものではない。
結核患者が主人公の小説で、私にとっての最高のものは、アリステア・マクリーン著の「女王陛下のユリシーズ号」である。主人公が努力をすればするほど体力を消耗し、病状が悪化していく。昔の結核は死病なので、主人公が最終的に死ぬ日がくることを知りながら、主人公の活躍を読み続ける。そりゃあ、もう、たまらん。
もしも結核になったら、ユリシーズ号のヴァレリー艦長のように、最後まで妥協なく戦い続ける人間でありたい。
まあ、いずれにせよ、結核っぽくなるには、まず見た目からだ。
目指せ、長身痩躯の美形男子。
まずは、マイナス●■キロくらいはダイエットしないといかんな。その次は、美容整形か。
理想的な結核患者への道のりは、それはそれで険しいものだ。
滝澤（2009/04/19）
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