【い】 「イノシシ」と「イカ」と
私はイノシシ年生まれである。
イノシシ年の人間はよく猪突猛進だなどと言われるが、むろんそんな大雑把なくくりには意味がない。私の同い年でも、猪突猛進な人間もいれば、優柔不断で慎重な人間もいる。
血液型もそうだが、こういった分類をして、「あなたはこういう人」と定義をすることは、日常茶飯事だ。人間は集団で生活をする生き物なので、何かに属していると感じていたいし、相手も何かに属していると信じたいのだ。
何かに属していると信じるだけで、人は落ち着きを感じる。
私は日本人だから、魚が好き。あいつはアメリカ人だから肉が好き。
あいつはアメリカ人だから押し付けがましい。私は日本人だから、奥ゆかしい。
そんな話を聞くと、ああ、たしかに私は魚が好きで、奥ゆかしい人間だ。けっこう当たってるじゃないか。などと思ってしまう。
たいがいの場合、「そういう人が多そう」という程度で、もちろん絶対ではない。占いは統計である、と言われるゆえんである。
世の中には、こうした都合の良い分類を元にした、乱暴な妄想ストーリーが多数存在する。
日本とアメリカという話が出たので、そこからスタートしてみよう。日本はアメリカの属国で、でも実は世界全体がユダヤ人資本に影で支配されていて、すでに宇宙人が地球に来て脱石油エネルギーの技術がもたらされているのにそれを隠蔽していて、それに怒ったマヤの神によって2012年に世界は滅びる……。
と、あることないこと適当に妄想できるのである。
さて、話は変わるが、イカである。
イカって、宇宙人みたいだ。
分類上、イカは軟体動物頭足類と呼ばれて、タコと同類である。オウムガイや、化石の代表選手であるアンモナイトも同じ仲間だという。私に言わせると、こいつらは、とても怪しい。
頭に足があるって……やっぱり変だ！
私は、軟体動物頭足類は絶対に宇宙人だと思う。火星人の姿はタコだかイカだか、そんな形で描かれることが多いのは、その事実をみんなが無意識下に認識しているからなのだ。
2012年には、空から巨大なタコ神が降ってきて、海中からは巨大なイカ神が浮かび上がり、そのふたつが合体して、世界を滅ぼすに違いない。
2012年12月22日は、マヤ暦の最後の日とされる。
この日は、かのノストラダムスが予言した「1999年第7の月」とちょうど4900日ズレている。4900日という数字は、7×7×100である。
実は、ノストラダムス自身が死んだのは1566年の7月と言われている。享年63。63という数字は、10×7−7である。この不自然な「7」の符合は、決して偶然では説明しきれないだろう。
ノストラダムスとて、完璧ではない。7という数字に翻弄されたノストラダムスとしては、7×7×100日程度のズレはしかたがなかったと言える。
もしかすると、この7×7×100と10×7−7の中に、地球を滅亡から救うヒントが隠されているのかもしれない。
誰でもいいので、この謎を解いて、地球を救ってください。
私は、好物のイカ刺しを食べながら、待ってます。
おいしいイカを食べると、私は日本に生まれて本当に良かったと思う。
もっとも、イノシシ年生まれのせいで、私が猪突「妄」進であることは認めざるをえないが。
滝澤（2009/01/18）
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