『不完全なる変態』
近所に、樹木の苗木を育てている土地がある。 木の名前は知らなかったのが、調べてみるとコニファーと呼ばれるものらしい。
とにかく、このコニファーたちは、ちっちゃいくせに、妙にきれいな円錐形をしている。身長が四十センチくらいなのに、剪定後の親の木をミニチュアにしたような姿だ。ちょこん、と地面から生えているミニチュアの木は、ちょっとだけ可愛らしい。
彼らの姿を見ていて、ふと私は気付いた。
コニファーは、不完全変態なのだ！
ちいさい時と、おおきくなってからの姿が似ているのが、不完全変態。生育の途中で形態が劇的に変化するのが、完全変態。（ホントハチガウンダケドサ…）
話が飛んで申し訳ないが、「コニファー」って、なんとなく「ジェニファー・コネリー」に似ているような気がしてならない。
いや、たしかに、彼女も可愛らしい外見をしていたかもしれないが、もちろん外見が似ているという意味ではない。名前の「音」が似ている気がする。
私だけか？
まあいい。
ジェニファー・コネリーは、子役でスタートした役者としては、まあまあ不完全変態のほうに分類されるのではないだろうか。
逆に、完全変態に分類されるのは、誰だろうか。マコーレー・カルキンあたりならば、間違いあるまい。
ふと、わが身を振り返り、考えてみる。
私は完全変態か、不完全変態か。
性的には完全なるヘテロセクシュアルだと自認しているが、このあいだ知人に連れていかれた新宿二丁目の店では、オカマさんに「試してみないと判らないわよ♪」と言われた。
たしかに、その通りだ。
でも、やっぱり、試す気は起こらないな。
もちろん、ひとたびこの世に生を受けた以上、完全を目指したいという気持ちは強い。目指せマコーレー・カルキン。
……。
でも、まあ、いいや。
いろいろ細かいところで偏った嗜好はあるけれど、基本路線はストレートで。
滝澤真実、三十三歳。
本日、己は不完全なる変態であることを、自覚いたしました。
滝澤（2004/04/25）
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