『金はすべてにまさる』
私は、金儲けができない。
もしも、本気で金儲けをしようと思ったら、考えなければならないことは、山のようにある。しかし、私のような単細胞な人間には、何かと掛け持ちで金儲けをする、などという器用な真似はできない。金儲けにだけ専念しなければならない。
私は、しかし、書き手である。
書くために必要だと思えるものには専念できるが、金儲けには専念できない。書くことのために時間を費やすことは屁とも思わないが、金儲けごときのために時間を費やすのは論外だと思っている。
したがって、私は金儲けができない。
そもそも、金を儲けるという視点が欠落している。
私は、資本主義社会に生きている。
世の中は、すべて金儲けの理論で動いている。私は、生活費を稼がなければ、自由に文章を書くことすら許されない――最低でも、食料と紙と鉛筆を買う必要があるのだから。
だから、私は会社勤めをしている。
ぶっちゃけて言おう。
金儲けは、金儲けの得意な人間がやってくれ。
私は、自分の「書く生活」が維持できればいい。会社勤めという身分を選択しているのも、それだけが理由なのだ。
しかし、会社は、収益を上げる必要がある。
そのためには、努力をしなければならない。
もしも、本気で会社の儲けを増やそうと思ったら、考えなければならないことは、山のようにある。しかし、私のような単細胞な人間には、何かと掛け持ちで会社の儲けを増やす、などという器用な真似はできない。会社の収益を増やすことにだけ専念しなければならない。
私は、しかし、書き手である。
書くために必要だと思えるものには専念できるが、会社の収益を増やすことには専念できない。書くことのために時間を費やすことは屁とも思わないが、会社の収益を増やすために時間を費やすのは論外だと思っている。
したがって、私は会社の収益を増やすことができない。
そもそも、会社の収益を増やすという視点が欠落している。
気力をそがれる、悪夢のような循環構造だ。
何よりもうんざりするのは、私自身が「書き手」だとか名乗っていながら、何一つとしてマトモなものを生み出せていないことだ。
結果が出せないことに、いらだちがあることは認める。しかし、私は書かずにはいられないように生まれ育ってしまったのだから、どうしようもない。どんなにクズであろうと、私には書き続けることしかできない。
書くことが生活の中心にならざるを得ないのだから、金儲けやら、会社の増益やら、そんなことに関わっている余裕はない。
そんなことを言ったって、どれほど「金なんてクソくらえ！」と叫んだって、結果は一緒だ。
私は、資本主義社会で生きている。
生きていく以上、金を稼ぐことの呪縛から逃れることはできない。
うんざりだ。
私に、金儲けのことなんか考えさせないでくれ。
金が大好きな人だけで、金を稼ぐ方法を考えてくれ。私は、その金を稼ぐ方法に従って、労働力を提供するから。
それが、あまりにも自分に都合のいい考え方なので、余計にうんざりする。
金儲けについて、もっと真剣に考えなければいけないのだろうか。
どうせ考えなければいけないのならば、先に社長になっていたほうが、よっぽどマシだったな。
滝澤（2003/09/03）
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