『お仕事お仕事♪』
私は、仕事人間ではない。
自分の生活の中には、仕事なんぞよりも重要なことが大量にある、と信じて疑わない。が、そういう「重要なこと」を遠慮なくやるためには金が必要で、金を得るためには仕事をするしかない。
ましてや、個人で商売をして直接金を稼ぐほどの商才がない人間としては、商才のある人のお手伝いをして、そのおこぼれにあずかることしかできない。
いや、この表現は、卑屈すぎるか。
モノを売るのが得意な人と組んで、私はモノを作る、ということだ。トータルとして、みんなのところに金が行くように。
さて。
仕事には、だいたい締め切りというものがある。その日までに仕上げる、と自分で約束したものもあれば、仕事上どうしてもその日までに出来上がっていないとまずい、ということもある。
が。
たとえば、スケジュールに余裕があるとしよう。
締め切りの直前の二日間だけ本気を出せば、それまではちょっと手を抜いていてもOK、と判断した。締め切り二日前まで、就業時間中にインターネットニュースなんぞを眺めていたり、インターネットショッピングをしてみたり。
さあ、あと二日、本気を出すぞ。
という段階になって、どうも体の調子が悪い。風邪をひいたらしい。測ってみると、体温は40度もある。
はい。
こんなシチュエーションで、あなたならどうしますか？
答えは、ひとつしかありえない。
体温が40度だろうが50度だろうが、這ってでも出勤して、締め切りまでに仕事を仕上げる。
ぶっ倒れるのは、仕事が終わってから。
ずっと、私はその感覚が正常だと思っていたのだが、ぜんぜん正常ではなかったらしい。
当然と思ってやっていることを、「責任感がある」だのと褒められるのだ。
一般的には、その意味で言うところの「責任感のない」人間が多いらしい。
なら、辞めちまえよ。
仕事がきちんとできないのなら、出勤する意味なんてないんだからさ。
などという毒を吐くこともせず、私は締め切りの直前に必ず風邪をひくヤツやら、面倒な仕事を任せられると翌日から体調不良になるヤツやらを眺めながら、神に祈るのだ。
お願いです。彼らのしわ寄せが、こちらに来ませんように。
むろん、祈りは、届かない。
先週もまた、上司がやってきた。
「ごめん、これ、S君がやる予定だった仕事なんだけど……」
ぷしゅう。
あのー、私も自分の仕事の締め切り、抱えてるんですけどぉ。
でも、しょうがないっすよねぇ。
はー、やりますやります。
しくしく。
滝澤（2002/12/23）
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