『死』
ああ、死ぬんだ。
久しぶりに思い出した。
小説の執筆に集中できず、コンピュータを執筆に使うかわりにゲームに使っていた。
そんな時に、ふと思い出した。
私は、死ぬんだ。
あと何年残されているのだろう。
ゲームなんかやってて、いいのかな。
何をやっていても死ねば一緒だ、と思う。
でも、死ぬまで、何かをやっていたい。
その「何か」が何なのかは、わからない。
ゲームでないことだけは確かだ。
何なんだろう。
手に入れられないものを手に入れようとあがいて、いらいらと生きること？
そんなのは、いやだ。
意味が欲しいのだろうか。
私は、意味を求めているのだろうか。
いつか、死ぬ。
死んで、すべてが失われる。
ならば生きている間に何かを求めることは、無意味なのだろうか。
物理的な何かでも、抽象的な何かでも、求めることは無意味なのだろうか。
それならば、今すぐ死んでも、千年後に死んでも、一緒なのだろうか。
一緒なのかも知れない。
結局、いつか訪れる死を受け入れるしかないのだ。
死によって断ち切られるまで、「今」のつながりの中で生きていくしかない。
どんなに未来を求め、想像して、努力しても、実ることはない。
未来なんて幻想で、どこにも存在しないものだから。
今この一瞬を楽しめれば、それでいいのだろうか？
たしかに、今を楽しむことができれば、いつか死が訪れる日まで、幸福に暮らせるだろう。
でも、今を楽しめないとしたら？
楽しむ方法が見つからないとしたら？
「これさえあれば今を楽しめる」と信じているものが、どんなに努力しても手に入らないと気づいてしまったとしたら？
ほとんどすべての人が手に入れられるものなのに、私には手に入れる能力がない、と知ってしまったら？
死にたくない。
でも、死にたい。
死にたい。
でも、死にたくない。
信じたい。
でも、信じられない。
信じられない。
でも、信じたい。
死ぬ。
いつか。
それまで、どう生きる？
命を放り出すのも、選択。
絶望的な戦いの中で窒息しそうになりながら生き続けるのも、選択。
私は、どうしたいのだろう。
死にたくない。
でも、窒息しそうなこの絶望感も、イヤだ。
自己矛盾が、心の中で暴れている。
どうしたいのか、自分でもわからない。
だから、なんとなく現状維持を続けている。
そういうものなのかな？
そういうものなのかもしれない。
私には、わからない。
自分が死ぬことを思い出した日。
私は恐怖におびえ、孤独に涙する。
滝澤（2001/11/11）
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