『うつくしいもの』
うつくしいものを見つけました。
いつも路上駐車が多く、車のクラクションの絶えない通りがあります。だれもがイライラとしていて、急ぐ必要がないのに急いでみたり、怒る必要がないのに怒ってみたり、そんなことに満ちた通りです。
その通りの歩道と車道の中間に、垣根のようにツツジが植えられています。
そして、今、そのツツジたちが満開になっています。
想像してみてください。
赤紫、ピンク、白のツツジが、葉の緑を覆い隠してしまうほどに咲き乱れているのです。
不思議と、ツツジたちの前には路上駐車がありません。
心なしか、通りに満ちていたみにくいものたちが、どこかに押し流されてしまったようです。
想像してみてください。
ちょっとだけ、ツツジの花の香りがただよってきませんか？
もちろん、排気ガスのにおいもします。
いつものように、クラクションだって鳴らされています。
でも、狭い道でゆずりあう車がちょっとだけ多くて、通りがちょっとだけ明るく見えて、かすかな甘い花の香りを感じられる。
そんな気が、しませんか？
今日、わたしは、うつくしいものを見つけました。
滝澤（2001/04/26）
このページの作品に対するご意見・ご感想などは、E-Mail : maniactaki＠gmail.comまでお願いいたします。
※スパム対策のために「＠」を全角にして掲載しています。半角に直してお送りください。