『見えない世界』
アントワーヌ・ド・サン＝テグジュペリという作家がいた。
言わずと知れた、「星の王子さま」の作者である。
この作品が語られるとき、必ずと言っていいほど引用されるフレーズがある。
「本当に大切なものは目に見えない」
もしくは、
「おとなは、だれも、はじめは子どもだった。しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない」
あまりにももっともすぎて、誰も気付いていないこと。言われれば、「そんなことは知ってるさ」と思うけど、実は見落としていたようなもの。
それを、サン＝テグジュペリは見事に描いている。
「星の王子さま」は童話の体裁をとっているが、内容は大人向けである。
いや、そんな話をしたいわけではない。
本当に大切なものは、目に見えない。
最近、ようやくそのことを実感することができた。
あいまいなものにこそ、価値がある。
とらえどころがないからこそ、手に入れたときの喜びは大きい。
失って痛みを感じるからこそ、努力して手に入れる意味がある。
見えない世界は、身近な場所に広がっている。
滝澤（2001/02/12）
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