『TK&HA&BD』

 TK氏は、自身が参加しているグループのボーカリストに歌わせる。
「以来、私は、自分の顔を探しつづけている。そして、自分のいるべき場所を探しつづけている」(意訳)
 ふむ。ろくでもない歌ばかり作っているTK氏にしては珍しく、意味深い歌詞の内容ではないか。
 ただし、自分の声で歌うのではなく、しかも「探している」だけで終わってしまっているあたりが、TK氏のTK氏たるゆえんだろう。

 自分が自分であること。
 それを他人から認めてもらうこと。
 居場所。
 自分はここにいてもいいのか?
 こんな自分でも、生きていていいのか?
 誰かに「いてもいいよ」と言ってほしい。
 でも、誰かに言われるだけではダメなのだ。
 「ここにいてもいい」と自分自身で納得できなければ。
 これはある種、誰にでも共通する感情なのではないだろうか。

 アニメーション作家HA氏は、大ヒットした氏の作品の中で、氏自身の姿を色濃く投影させた主人公の少年に、こう語らせる。
「ボクはここにいてもいいんだ!」
 それをどうやって納得したか、はきちんと語られてはいない。それが、HA氏の限界でもある。しかし、答えは、隠された状態で、確かに存在しているのだ。

 アメリカのBD氏は、ギター一本を抱え、ダミ声で歌う。
「人はどれだけの道のりを歩けば、一人前の人として認められるのだろうか。その答えは風に吹かれて、僕らのすぐ近くで見つけられるのを待っている」(意訳)


滝澤(2000/06/04)



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