『倒れた猫』
近所に、小さな雑木林がある。その入り口のところに、茶トラの猫が横になっていた。一見すると眠っているようにも見えたが、首だけが奇妙な角度に曲がっており、すぐに死んでいるのだと知れた。
死因はわからない。とくに血が出ているような場所もなく、毛並みもきれいなままである。病気か、それとも、外傷のないタイプの怪我か。
翌日、同じ場所を通った。
猫の死体は、消えていた。
誰かが通報して、片付けられたのだろうか。
動物の死体は、生ゴミとして処理されるという。
生ゴミ。
悲しいではないか。
そこで、こう考えてみることにした。
あの雑木林には、不法投棄されたモノがたくさん落ちている。
その中には、きっと、バタリアン・ガスが封入されたタンクがあったに違いないのだ。そのタンクは老朽化していて、もれたガスによってあの猫はバタリアン茶トラへと変貌をとげてしまったのである。
バタリアン茶トラは、撃たれても死なない特性を生かし、ゾンビ・コップのごとき活躍で犯罪者を追い詰める。バタリアン茶トラにやられた犯罪者たちもバタリアン・ガスの影響で不死になり、やがて雑木林はバタリアンたちで満ち溢れるのだ。
その雑木林に迷いこんだ者は彼らに捕らえられ、彼らが踊る盆踊りを延々見せつけられ続けるのであった。
迷いこんだ者たちはどうにか脱出するが、ホッケーの仮面をかぶってチェーンソーを持った男に襲われてしまう。やがて未知の惑星にたどりついた彼らは、そこで異星の船に乗っていたエイリアンにとりつかれる。
最後に残った女性はなんとかエイリアンを倒し、超能力を使ってホッケー仮面も倒す。そして「戦士にも休息は必要だ…」とベガのごときセリフを残し、彼女はコールドスリープの長い眠りにつくのであった。
おしまい。
ネタになった映画をすべて見ぬいた人、あなたは偉い。
滝澤（2000/04/30）
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