『写真屋』
知人に請われて、モンゴルの写真を焼き増ししてあげることになった。
保存していたネガを写真屋へ持ち込み、焼き増しを頼んだ。翌日に仕上がった写真を受け取ったのだが、出来上がった写真には白い点がついていて、非常に汚い。さっそく写真屋に行って、どういうことか聞いてみる。
「ああ、これはネガに埃がついてしまっているんです」
「ネガの保管が悪かったのですか？」
「ネガ袋に入れていたのであれば、埃が入ることはめったにありません」
「じゃあ、いつ埃がついたのでしょうか」
「現像した直後の最初にプリントした時に、その時の写真屋がネガを裸で机の上に置いたりしたのでしょう」
「埃は、取れないんですか？」
「取れますよ」
そう言った写真屋は、道具を使ってスコスコと空気をネガに吹き付ける。
「ほら、埃は取れました。これ、焼き直ししておきますよ」
「よろしくお願いします。焼き直しの分はお金を払いますから」
「いやいや、代金はいいですよ」
ということで、私は引き上げた。
しかし、私は知っている。以前にも私は、焼き増しをしたことがあるのだ。しかし、その時の写真には埃の跡など存在していなかった。埃がつくのは仕方ないはずだ。手袋を使って扱っても、手袋から埃がつくことだってあるのだ。焼く時に埃を払っておくのが、写真屋の仕事じゃなかろうか。
まあいい。
写真屋に当たりはずれあるのは、よく知っている。ちとシャクだけどね。
滝澤（1998/06/28）
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