『カーテン』
引っ越しをした。今ふうのワンルームっぽい部屋である。窓が縦に大きく、シャッターがついている。
引っ越しした最初の夜。カーテンがないので、シャッターを下ろして寝た。何度かふと目が覚めて部屋を見回したが、真っ暗である。寝ぼけた頭で「まだ朝になっていない」などと考えながら眠っていたのだが、宗教の勧誘が来て起こされた。それが１２時。
もっとはやく起きて荷物の片づけやら何やらをやる予定だったのだが、その予定が大きく狂ってしまった。それ以上に、仕事に行くために起きるのにも、不安がある。眠ることをこよなく愛する私としては、暗いのに起き出すという芸当は、なかなかできるものではないのだ。
そこでシャッターを開けて、丸見えにならないようにするためにカーテンを買うことにした。カーテンレールまでの高さ、約２メートル。幅、一間。
まだ越したばかりでなじみのない商店街を歩きながら、カーテンを探す。と、ずばりカーテン専門店を発見。狭い店の中に布が山積みになっていて、奥におじさんがちょこんと座っている。私はそこに入った。
部屋の窓のサイズを言うと、２メートル×１メートルのカーテンを２枚取り出した。あれ、中合わせじゃなくて１枚のやつはないの？ と尋ねると、おじさんはきっぱり「ない」と答えた。
どうやら、縦２メートルの窓というのは最近になってはやりだしたサイズで、その窓に合うカーテンの需要は少ないらしいのだ。そこで、横幅が半間しかない窓の場合でも使えるように、半間分のカーテンしか作られていないのだそうな。これは新発見である。
私はレースのカーテンを２枚、遮光性のカーテンを２枚買うことにした。しめて１万円。
え？ １万円？
カーテンってそんなに高いものだったのか。これも新発見だなぁ……。
滝澤（1998/03/22）
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