『鶯』
ウグイスの鳴き声を聞いた。いつの間にかもう春になっていたんだなあ、と思わず感心してしまった。仕事で忙しくしてたり、風邪で寝込んだり、すごく余裕のなかった自分に気づいた。
ウグイスの声。透明感のある、やさしい声。
たとえどんなに忙しくなっても、たとえどんなにつらくても、遠くから漂うように聞こえてくるウグイスの声を聞いて「いいな」と思えるうちは、まだ大丈夫。私はほっとした。
見えるもの、見えないもの、見たいもの、見たくないもの。世の中にはいろいろなものがあるけれど、心の奥底では見たいと思っているものが見えない、という状態だけにはなりたくない。
余裕。
いや、「無駄」と言うべきか。
一見すると何の役にも立ちそうにないものこそ、自分を豊かにしてくれているような気がしてならない。
ウグイスさん、ありがとう。
滝澤（1997/03/16）