『読書報告 −神は沈黙せず−』
読んだのは『神は沈黙せず（上・下）』。著者、山本弘。角川文庫、や-40-1/や-40-2。
と学会の会長として知られる山本弘の小説。
大藪春彦の小説における銃の描写と同様に、この小説に登場するウンチクは読み飛ばしてよい。話の本筋にはまったく関係ないし、純粋に小説として読む限りにおいては無駄でしかない。
そのウンチクの数々は、J.R.R.トールキンの「指輪物語」における世界説明と同様に、小説として描かれている世界をリアルな感じにする役には立っているが、明らかに過剰であり、小説としては破綻をきたすほどの量で、読んでいて明らかに「うんざり」する。
ただ一点、私は著者の書いたテーマに感服した。
私も山本弘の描いた神を信じ、その教えを広めていきたいと思う。山本弘は、私が信じていた神を言語化して、見事に表現してくれたのだ。
私は、この本に、「指輪物語」を他人に薦めるときと同じ言葉を使いたい。
読むには、あまりに苦痛に満ちた文章である。小説としては、「最悪」と言っても過言ではない。しかし、最後まで読んで欲しい。途中に挟まる余計な部分は読み飛ばしても構わない。とにかく、読んでほしい。
読んだ先に、心を動かされるものがあるはずだ。
滝澤の独断と偏見による採点：
文章力：7 / 10点
構成力：7 / 10点
意味性：8 / 10点
娯楽性：5 / 10点
完成度：6 / 10点
合計点：33 / 50点
滝澤（2006/12/24）
このページの作品に対するご意見・ご感想などは、E-Mail : maniactaki＠gmail.comまでお願いいたします。
※スパム対策のために「＠」を全角にして掲載しています。半角に直してお送りください。