『名前って』
名前ってどんな意味があるのだろう、と最近考えます。
よくファンタジー小説で見かける概念ですが、ある人物の本当の名前を知る者は、その人物に大きな影響を与える、という考え方があります。比較的、西洋のほうで強い概念のようです。名付け親が「ゴッドファーザー」とか「ゴッドマザー」と表現されること自体が、アチラでは重要視されている概念なのでしょう。
これは、アチラの文化である「愛称」にも関係がるような気がします。私の大学時代の英語の先生で、ビルさんという人がいました。でも、本名はウィリアム。普段は愛称を使うことで、本当の名前を軽々しく使用しない、という文化的背景があるのではないか、と私は想像しているわけです。
逆に言えば、日本ではあまり愛称というものは聞きません。人相風体や性格や仕事からつけられた「あだ名」はありますが、これは「愛称」ではないですね。
私にはマサミという本当の名前がありますが、これを「マッシュと呼んでください！」なんていうと、ちぃーっとおかしな雰囲気です。「天然パーマなので、みんなにはパーマ怪人と呼ばれてます！」というほうが、自然。
そんなこんなを考えても、やはり「本当の名前を知る者の影響力」というコンセプトは、西洋発のような気がしてなりません。
有名なところで、徳川家康などは、竹千代という幼名にはじまり、元信、元康、家康、といった順に名前を変えました。どんな思想的背景があったのかはわかりませんが、当然ながら、名前にまつわる呪術的な考えも含まれていたことでしょう。
ただし、日本の場合の「呪術的」という中には、西洋の文化にあるような「その者の本当の名前を使って呪いをかける」という側面よりも、「縁起」という側面のほうが強かったような気がしてなりません。もちろんこれは、現存している文化から単純に推測した場合、というはなはだ頼りない論拠によるものですが。
さて、名前と縁起という考え方をしたときに避けて通れないのは、「姓名判断」の話でしょう。調べてみたところ、現在知られている姓名判断の形式が完成されたのは、20世紀になってからなのだそうです。熊崎健翁という人がシステム化して広めたのだとか。もちろん、それ以前にも原型となる思想はあったはずです。
原型となる思想がどのようなものであったかは、もはやわかりません。
が、その思想の背景は、想像することができます。
私たちの人生を支配している大きな要素として、「偶然」があります。「運」と表現してもいいですし、「神のなさること」と表現してもかまいません。自分には制御できない「偶然」という要素を神格化して、何とか説明しようとしているのです。
要は、怖いわけですね。
偶然という目に見えないものに振り回されている状況が。
それがまったく無作為に起きている偶然ではなく、何らかの説明がなされているものならば、未来への恐怖心は減るでしょう。
さらに一歩進んで、運を自分の制御下に置きたい。それが縁起というものが生み出された背景なのです。占いのたぐいが流行るのは、この考え方のおかげだといえます。
そういえば、最近テレビでよく見かける、非常に頑迷そうな顔をした占い師が、「Ｘ-ＧＵＮ」というお笑いコンビの改名をしたそうですね。同じ占い師が以前改名した「おさる」のその後を見ると、どれほど効果があるのか疑問です。
占い師の効果は、いわば運に対抗していくための気力をもらう、というところにあります。改名も、「こうすれば運が向いてくるはずだから、これからももっと頑張りなさい」というきっかけの意味があるわけで、結局のところ、気持ちを強く持って頑張ればいい、ということがわかっていれば、占い師に頼る必要はないわけです。
改名の効果で言えば、「バカルディ」や「海砂利水魚」の改名を実行した某タレントのほうが、明らかに効力の面で期待できそうです。
故人ですが、本田美奈子という人も、改名をしましたね。改名から1ヶ月で白血病が発病、1年足らずで死去、ということになったわけですが。
これは、改名失敗の好例でしょう。
逆に、槍魔栗三助という人の改名をした人は、成功なんじゃないですか？
個人的には、玉袋筋太郎には改名してほしいです。女性タレントが彼の名前を呼びにくそうにしてますから、ちょっとかわいそう。最近では、玉ちゃんなんてアザラシみたいな呼び方をされているようですが。あの顔といい、キャラクターといい、玉ちゃんってガラでもないしなぁ…。
ああ、名前の持つ意味で、雰囲気というものはありますね。
「ゴンゾウ」とかいう名前は頑固そう、「テッペイ」という名前は元気そう、という感じで、それなりに雰囲気というものがあります。幼いころからその名前で呼ばれると、名前の響きがもつ雰囲気に影響されて、子供の個性にも影響がありそうな気はします。
私はペンネーム不使用派ですが、たまにはペンネームを使用したいと思うときもあります。
マミに改名したら、雰囲気が変わって、人気出るかしらん？
滝澤（2006/02/19）
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