『夢のまた夢』
先日、知人と飲んだ。
その折に出た話。
大金持ちの男と結婚した女がいる。
男が浮気をする。
そこで、女は夫に保証される金銭的に豊かな生活を維持できるのであれば、浮気を容認できる、という話が出た。
そういうものなのだろうか？
そりゃあ金は欲しいのだが、金よりも大事なものがあると私は思ってしまう。
という反論をしたら、一刀両断にされてしまった。
「金のないヤツに限って、金より大事なものがあるとか言うんだよ」
あー、確かにね。私は金なんか持ってないさ。どーせ貧乏人のヒガミさ。ふんだ。
その後の会話の流れの中で、こんな話題も出た。
宝くじで１億円当たったらどうするか。
いろいろなものの値段を気にせずに買い物をするようにはなると思うが、仕事を辞めるとか、自分で商売をはじめるとか、投資をするとか、そういう特別なことはしないと思う。いや、もっとたくさんのお金があっても、働いていない自分は想像できない。なんだかんだと言って、ずっと働いているはずだ。
って、金があればよかったんじゃないのか？
仕事に何を求めているのかねぇ。
さらに次の話題。
最近なにかと話題の多い、ライブドアの話題。同じ業界で働く者が多かったために、いろいろな情報が流れ込んでくる。
あの会社の社長は、会社の本業の収益で金持ちになったわけではなく、株式公開に成功したから金持ちになっただけだ。かつて一緒に働いていた口先だけのウソツキ男がライブドアに転職後、重用されている。まったく人を見る目がない。
って、金があればよかったんじゃないのか？
どんな手順でも金を得られれば許されて、金と権力があればウソツキ男も容認される。
「金のないヤツに限って、金より大事なものがあるとか言うんだよ」
というのは、そういうことだよね？ 違うのかな？
さらにさらに。
最近、勤務先の経営方針が変わったのだという。制作系の仕事なのに、何から何まで書類、書類。休日出勤をする場合にはあらかじめ書類を出して上司の認可をもらわないと、休日に仕事をしたとは認められなくなるのだとか。
締め切り寸前のギリギリのところで仕事をしていると、何日も前に「今度の土日は休日出勤だ」などとわかるはずもない。作ることを知らない経営者だと、これだから困る。金儲けだけうまい商売人には、モノ作りをする人間の感覚はわからない。
って、金があればよかったんじゃないのか？
金儲けさえうまければ、モノ作りのことなんかわからなくてもいいだろう。
「金のないヤツに限って、金より大事なものがあるとか言うんだよ」
というのは、そういうことだよね？ 違うのかな？
正直、私は混乱している。
金は欲しい。
でも、他の何よりも優先されるとは、とても思えない。どこかに「ここまでなら金優先、ここから先は他のものを優先」という境界線のようなものがある気はするが、その境界線は非常にわかりにくく、曖昧なものだ。
おそらく、みんなも混乱しているのだろう。
だったら、そんなにキツい言い方をしなくてもいいじゃないか。
「金のないヤツに限って、金より大事なものがあるとか言うんだよ」
くっそー。
私は金を手にしても、金よりも大事なものがあると主張してみせるぞ。
まあ、私が大量の金を手にすることは、まず無理だろうが。
大金なんて、夢のまた夢。
地道に行こう、地道に。
滝澤（2005/02/13）
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