『自分を好きになる方法』
ある知人が言った。
――人は、他人がやったことは忘れるが、自分がやったことは覚えている。
その通りなのだろう、と思う。
私が自分を嫌いな理由も、そこにある。
過去に自分がしてきたこと。実際に行動にはしなかったけれど、思ってしまったこと。そういうもろもろが腹立たしくて、自分が嫌いになる。
よく、「人を傷つけるのがイヤだから…」という言葉を聞くが、それは言い訳でしかない。何よりも、自分自身が傷つくことにおびえているのだ。
自分がやってしまうかもしれない、自分が思ってしまうかもしれない、悪いこと。そんな自分と向き合うことがイヤだから、自分を押し殺す。押しつぶされそうになったエゴが上げる悲鳴ですら、うとましい。
だから、私は私が嫌いだ。
自分を好きになる方法？
そんなもの、あるはずがない。
嫌いなものは、嫌いなのだから。
しかし、思うのだ。
失敗をしない人間がいないように、他人に対して悪いことをしない人間もまた、存在しない。それならば、自分の失敗を知り、失敗を悔い、自己嫌悪に陥ることは、ぜんぜん悪いことではない。
自分の失敗に気付かず、傲慢に振舞い、むやみに自分を愛するだけの人間よりも、よっぽど素晴らしい人間なのだと、私は思うのだ。
私は、私が嫌いだ。
しかし、私は、自分を嫌っている私自身を、認めてあげたい。
こんな自分を好きになる方法なんて、ありはしない。
でも、それはそれでいいじゃないかと思う。
自分が嫌いだからこそ、前に進めることもある。
滝澤（2004/01/25）
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