『探しつづけた日々を省みて思う』
ふと思い立って、この一週間、「うつくしいもの」をさがし続けてみた。
はっきり言おう。
うつくしいものなんて、そうそう転がっているものではない。
探して見つかるものでもない。
それはまるで蜃気楼のようで、意識をしていないときに突然見え、その気になって追い求めてみるとどこにも見えない。
探しつづけるうちに、書けるほどのうつくしいものがみつからなくなってしまった。
これが私の能力の限界なのか。
私という卑小な意識が見通せる限界なのか。
私は思う。
世界の中には、うつくしいものよりも、みにくいもののほうが多いのだろう。
でも、だからこそ、うつくしいものには価値があるのではないだろうか。
うつくしいものは、簡単に壊れてしまうだろう。
でも、だからこそ、はかないものには価値があるのではないだろうか。
強情で頑固な、みにくさ。
引っ込み思案で壊れやすい、うつくしさ。
アンバランスな、線対称。
願わくば、バランスを完全に失ってしまうことがありませんように。
願わくば、「そこにあるもの」を見出す心の余裕を失うことがありませんように。
滝澤（2001/05/03）
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