『ライトスタッフ』
しばらく、もやもやしていた。
最近のニュースの中で、「向井さん二度目の宇宙飛行」というものがあった。それとセットで必ず流れた、「グレン氏史上最年長での宇宙飛行」というニュース。ずっと心の中で何かがひっかかっていた。
スプリガンを見て、なんてクソなんだと思った。そこでも何かひっかかっていた。
そして、たまたま知人と映画の話をした。
「オススメの映画は？」
「そうだなあ、『ライトスタッフ』かなあ」
そう、思い出した。これだ！
１９４７年。それまで破れないといわれていた「音の壁」を、Ｘ−１という飛行機で超えた男がいた。男の名前はチャック・イエガー、アメリカ空軍のテスト・パイロットである…。
というシーンから始まるこの映画、空軍、海軍、海兵隊などのパイロットが集められて、有人衛星の打ち上げ計画「マーキュリー計画」が実行されるまでを描いている。ご存知の通り世界初の宇宙飛行士はロシアのガガーリンだが、アメリカではシェパードという人物が最初の宇宙飛行士となった。マーキュリー計画のパイロットはシェパードの他に６人いて、その中にジョン・グレンの名前がある。
グレンは、マーキュリー計画に参加する前からテレビに出演したりしていたらしい。７人の中でも知名度はトップ、マスコミ慣れもしていた。むろん、彼が飛ぶ時には大騒ぎ。しかし、帰還の前に熱遮蔽板に異常が見つかり、生還が危ぶまれる…。
いや、グレンがどうの、ということが問題ではないのだ。
ドキュメンタリータッチのこの映画、記憶に残る宇宙飛行士はグレンやシェパード、７人の最後に飛んだクーパーなどなのだが、実は彼らは主役ではない。主役はあくまでも、飛行機に乗り続けたチャック・イエガーなのだ。
かつての後輩たちが宇宙に行き脚光を浴びる中、イエガーは田舎の空軍基地で飛び続ける。より速く、より高く。予算が宇宙計画にまわされ、だれも振り向かなくなったにも関わらず、イエガーは限界に挑み続けるのだ。その姿が、ムチャクチャ格好いい。
そう、感じていたもやもやの原因は、ここなのだ。
あまり知られてないけど、すごい奴がいた。
「アポロ１３」なんて、「ライトスタッフ」のパクりだ。
ＣＧにいくら金を使っても、それだけではクソ映画しかできあがらない。
久しぶりにライトスタッフをビデオ鑑賞しよう。楽しみだ。
「ライトスタッフ」（１９８４年・アメリカ）
監督：フィリップ・カウフマン
音楽：ビル・コンティ
出演：サム・シェパード／エド・ハリス／スコット・グレン／デニス・クエイド他
滝澤（1998/11/15）
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