その日、私は死んだ
死んだ私は、自分という名の棺にみずから入る
棺の外の世界を拒絶して
棺の中の世界だけを愛して
教えて
どうして私は死ななければならなかったの？
かつては世界を愛していたのに
かつては世界を信じていたのに
どうして？
死を選んだのは、私
棺の中に逃げ込んだのは、私
悪いのは、私
たとえ、世界が私を追い詰めたのだとしても
結局、悪いのは死を選んだ私
ごめんね、私を必要としてくれたひと
私は死人だから、役に立てなかった
ごめんね、私を愛してくれたひと
私は死人だから、こたえてあげられなかった
ごめんね、私が傷つけたひと
私は死人だから、誰かを傷つけても気にならなかった
ごめんね、私がだましたひと
私は死人だから、この棺の中での眠りを邪魔されたくなかった
眠らせて
私を起こさないで
棺を叩くのは誰？
ずっと死人でいたいのに、私はどうして棺の外が気になるの？
死を選んだのは私
でも、棺の外が気になるのも私
どうして私はこんなにも矛盾しているの？
世界は墓地なんだ
人の数だけ、棺が並んでいる
そして、みんな棺の中でまわりの様子を探っている
となりの棺には、どんな人が入っているんだろう
それが気になるんだ
みんな似ているから、気になるんだ
私は墓の中
みずからが選んで入ったのに
そこで腐り、朽ちていくことを恐れている